春のあたたかい時期、道端や線路脇に見られる小さな花。
特別に意識はしていなくても、誰もが目にしていると思います。
スミレは世界各国の温暖な地域に数多く自生しており、その種類は400種以上もあると言われています。
日本では古くから馴染みのある野の花として親しまれて来ましたが、西洋のスミレは日本のものよりも香りが強く、香料などとして栽培されて来たため、その扱いはちょっと特別だったかもしれません。
また一般的に思い浮かべられるスミレの花は濃い紫色かもしれませんが、他にも青・白・ピンクなど様々な色があり、花言葉もそれぞれに違いがあります。
この記事では、そんなスミレの花言葉・誕生花についてまとめてみました。
スミレ全般の花言葉
スミレ全般の花言葉は、
- 謙虚
- 誠実
- 小さな幸せ
- 思慮深い
- 奥ゆかしい
- 控えた美しさ
の6つ。
いずれも道の隅にひっそりと、小さく、可愛らしく咲く姿から連想されたものだとうかがえます。
スミレの色別の花言葉
- 紫…「貞節」「愛」
- 白…「あどけない恋」「無邪気な恋」「純潔」
- 黄色…「牧歌的な喜び」「つつましい喜び」
- 青…「用心深さ」「愛情」
- ピンク…「愛」「希望」
またヨーロッパで多く見られる香りの強い品種は、英名だとSweet Violet(スイートバイオレット)ですが、和名ではニオイスミレと名付けられており、在来のスミレとは別に花言葉があてられています。
ニオイスミレの花言葉は、「高尚」「奥ゆかしい」「秘密の愛」「控えた美しさ」の4つ。
こちらは在来のスミレよりもちょっと特別な、少しミステリアスな女性像を足したイメージになっているような印象です。
いっぽう西洋では、香りの弱いものも強いものも含めて、花言葉はひとくくりに表現されています。
西洋のスミレの花言葉は「謙虚」「誠実」「慎み深い」「バージン」「純真」「謙虚さ」「あなたのことで頭がいっぱい(紫花)」「love(青花)」。
こちらもまた、日本の花言葉と意味の重なるもの、そして少し違うニュアンスの含まれるものとがありますね。
スミレの花名・花言葉の由来
日本で一般的に言う「スミレ」は、学名のViola mandshuricaのことを指しています。
「スミレ」というと、スミレ科スミレ属全般を指すことになるのですが、主には上記の種のものを指してそう呼んでいる様です。
また先ほど紹介したニオイスミレは、Viola odorataの和名になります。
英名がSweet Violetとなり、西洋ではこちらの種が一般的になります。
はじめに言ったように、日本では、古くから山や野の花として親しまれてきたのがスミレです。
万葉集の有名な歌にも、
春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ 野を懐かしみ 一夜 寝にける(山部赤人)
と詠まれています。
一方、西洋では古くから香料として栽培されてきたこともあり、バラ、ユリと並んで少し特別に扱われてきた花になります。
またキリスト教ではキリストの謙譲の象徴でもあり、中世の絵画にはスミレの絵が描かれているものが多くあります。
中世ヨーロッパでは、「美」を象徴するバラ、そして「威厳」を表すユリと並び、「謙虚」と「誠実」を表すスミレとして、理想の女性を表す三大フラワーとされました。
特に「謙虚さ」「誠・実さ」は聖母マリアの象徴でもあるとされており、そのため日本のスミレの花言葉と共通する「慎ましさ」や「謙虚さ」に加え、西洋のスミレの花言葉には、聖母マリアへの敬意や愛情を表すような言葉があるのが特徴だと言えます。
美しさにプラスされる香りが、特別な魅力を生み出すのかもしれません。
スミレはいつの誕生花?
スミレの誕生花は、1月8日、1月9日、2月21日になります。
また、色によって誕生花が異なり、ピンクは1月6日、白は1月15日、黄色は2月6日となっています。
スミレの季節・開花時期は?
スミレは3月~5月にかけて、全世界の温帯~暖帯で見られます。
ちなみに、ニオイスミレの開花時期はもう少し早く、大体12月~3月、冬から早春にかけてとなります。
またスミレは食用も出来、てんぷらやおひたし、あえものにしたり、またはサラダの付け合せなどにして季節の味を楽しむことも出来ます。
注意してほしいのは、ニオイスミレや、スミレの一種であるパンジーには毒性があるということです。
少しおしゃれな楽しみ方としては、スミレの花の砂糖漬け、というものを聞いたことがあるでしょうか?
日本では桜の塩漬けなどが有名ですよね。
ヨーロッパではチョコレートと合わせたり、紅茶に浮かべたりしてその色や風味を楽しむそうです。